番外編:結婚式後日談(後編)
2005年 07月 30日
周りを見渡すと、アルバートの父エセルバートの横には、エレノールの父エフラムが娘の結婚に男泣きしながら酒を食らってます。そちらへ近づくと絞め殺されそうです。
反対側の席にやんちゃな双子の弟の面倒を見ているヴァシリーサがいたので、そちらへ移動することにしました。
アルバートが近づいてきたのを見て、ヴァシリーサ、口を開きます。
「あっちでスカンデル兄さんがいじけてるみたいだけど、あれ、何」
「いや、ちょっとね」
アルバートは彼女の横に座りながら、ヴァシリーサにバス浜での話のお礼を言おうとしました。
「その……バスの浜で俺の背中を押してくれてありがとう」
「貸しは武術大会で優勝して返してくれれば充分よ」
ヴァシリーサは笑いながら、
「それにもしプロポーズに失敗したまま、アルバートが一生結婚しないなんて言い出したら、”ジマの力”や素質が遺伝しなくなっちゃうじゃないの。万一のことも考えて、強い身内は多いほうがいいわ。ヴァシリーサさんは抜かりはないわよ」
え、結局目的はそれ……?
ヴァシリーサがどこまで本気なのかわかりません。
そこへエレノールの姉ペギーが酒を抱えてやってきました。
「おめでとうー!さあ、あたしの酒を飲みなさい」
「はあ…」
ジマナァム家の長女は、父の性格を受け継いで「超ワイルド」です。彼女はアルバートと同じリムウルグ所属ですが、この2年間、職場で一度も姿を見たことがありません。ひたすら訓練に没頭しているようです。(その割りにリーグランキングは良くないのですが) ちなみにアルバートはこのお姉さんが昔からちょっと苦手です。
注いだ酒を飲めと言われて、アルバートはとりあえず飲みました。
「エレノールを幸せにしてやってよ」
そう言ってペギーはまた酒を注いで飲めと言います。
「はあ…」
言われるまま、アルバートはまた杯を傾けました。
すると、またペギーが酒を注ぎます。
「あの子を泣かさないでよ」
「いや、もう酒は…」
いらない、と言おうとして、アルバートはペギーの眼が据わっている事に気づきました。
酒豪の彼女は既に完全な酔っ払いです。
「まあ、とりあえず飲め!」
「え、ちょ、まっ」
反論する間もなく酔っ払ったペギーにしこたま飲まされ、花婿アルバート、誰よりも早く撃沈したそうな(笑)
↓宴も終りの頃。
「お姉ちゃん、これ(←アルバート)どうやって連れて帰ればいいのよ~、重くて無理よ~(汗)」
「あたしと酒を酌み交わせないようじゃ、父さんとも飲めないでしょ。エレノールのダンナ失格ね」
「そうじゃなくって……もう、起きてよアルバートー!」
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by blue-ground | 2005-07-30 00:21 | 6代目アルバート