568年前半(1):
2006年 05月 24日
首席は双子の兄のユージィンが取り、残念ながら知識のメダルはもらえませんでしたが、学舎で先生に礼節の大切さを教え込まれたおかげで、ヴィクトールも腕白坊主から立派な青年になれたようです。
ということで、式からの帰り際、
「どう? 最近」
「今年成人しました。よろしくお願いします」(深々と礼)
声をかけてきた1歳児に律儀に挨拶する男、ヴィクトール。
さすが「信心深い」と言うべきか……。
さて、ヴィクトールはショルグでの活躍を目指しているので、今夜からさっそく訓練を開始します。いったん帰宅して訓練アイテムを持ち出し、家を出ると兄のユージィンが声をかけてきました。
「お前、どこ行くの?」
「バスの浜へスピード訓練に行くところだよ」
「フーン。頑張れよ」
ユージィンはそれだけ言うと、家の中へ入っていってしまいました。兄はあまり訓練には興味がないようです。
バス浜へ着くと、既に先客がいました。
「こんばんは、マクレイさん」
「こんばんは、コヤマくん」
彼女はノヴァ・マクレイさん(9歳)。気の強そうな美人さんです。ヴィクトールの親戚のスカンデルの娘さんで、「訓練好き」。この若さで訓練好きな性格なのは、この国では珍しいです。
それにしても、何だか彼女が自分を見てくすくす笑ってます。気になってたずねるヴィクトール。
「何ですか?」
「コヤマさんのところのそっくり双子クン、成人したんだーと思って。おめでと」
ヴィクトールとユージィンは、全く同じ顔の双子なので、きっと本人たちの知らないところでも有名なのでしょう。
「じゃねー」
彼女はさっさと訓練を終えると、浜を去っていきました。
さて、翌日2日。
初めてのショルグ新年祭と仕事始めに出た後、ヴィクトールはコーク杯の開会式を見に行こうとプルト闘技場へ向かいました。
陽が落ちて薄暗くなった闘技場前は人でいっぱいです。
そこで、会場外を何だかうろうろしている父のマードックを見かけたので、父さんも開会式見学? と話しかけました。すると父が言うには、
「アイテムを取りに行ってるんだ」
え?
それは個人商店を持っている人の言うセリフなんじゃ……。
ステータスをみても、マードックは別に今年の出店権を貰ってはいません。何でこのセリフが?? ちょっと言ってみたかっただけ? そうこうするうちに、マードックは自分の言ったセリフにはお構いなく、人の流れに乗って闘技場へ入って行ってしまいました。
その後ろ姿を見ながら、
(誰も指摘しないけど、父さんってたまに天然入ってるよな…)
とか思うヴィクトール。
とにかく彼も、闘技場へと入ります。中では既に出場者紹介が始まっていました。ヴィクトールの祖父で議長のアルバートも、シードで今回のコーク杯に出ています。ヴィクトールも、いつかあの9名の出場者の一人になってみたいと思っています。それには何よりもまず、リーグ入りとレベル上げが必要です。
大会の雰囲気だけ味わって帰宅すると、これまた双子の妹と弟がまとわりついてきました。
「お兄ちゃん、遊んでぇ」
「遊んでぇ どらごんげいる!(ドカ!)」
「オレは明日から仕事なの! 寝させてくれよ」
「ほら二人とも、お兄ちゃんの邪魔しないのよ」
母のユリイカが弟妹をたしなめてくれました。
そう、明日から初めての仕事!
でも、ヴィクトールは今年は仕事よりも訓練に比重を置くつもりです。
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by blue-ground | 2006-05-24 14:54 | 8代目ヴィクトール