585年前半(2):   

7日。
この日、朝からバハウルグへ行ったクラリッサが何気なくウルグの掲示板を見ると、



いつの間にか、

b0057741_12143983.gifポーラちゃんに200ポイント近くも差をつけられて、ウルグ順位を抜かれていました!!
ポーラちゃんが訓練してると思ってクラリッサも訓練に励んでいたら、今度は彼女は仕事にも精を出していた様子。ポーラちゃんは本当に頑張りやさんです。
ま、負けてられないわ……! 
ラフィアの花は、夜の間に子供たちにどうしても持ち出されてしまうので、15日以降20日までの短期間に集中して採ることにしたクラリッサは、この日、一日中仕事をすることにしました。
お昼過ぎから仕事にやって来たポーラちゃんが、この間はクラリッサが収穫物を全然納品しないでポイポイと横に置いていたのに、今日は俄然やる気を出して納品しているそのペースに、びっくりしています。

b0057741_12143983.gif「クラリッサちゃん、すごい勢いで仕事してるけどどうしたの?」
b0057741_1630856.gif「あっ、ポーラちゃん! クラリッサも負けてられないの!」
b0057741_12143983.gif「?」
ポーラちゃんはリーグ順位もウルグ順位もクラリッサを全然意識してないと思うけど、クラリッサにとっては、いつも先を歩いている存在が身近にいることは、ちょっと悔しいながらもとても張り合いが出ることなのです。

8日。

昼間、家でクラリッサが料理をしていると、珍しく兄のリヒトが訪問してきました。クラリッサが声をかけると、リヒトは、

b0057741_12144492.gif「ウォルター君に用事があって」
とのこと。
兄は男兄弟がいないし、まだ一人身で子供もいないので、甥っ子を可愛がってくれているのでしょうか。

b0057741_17595410.gifウォルターもリヒトと同じく男兄弟がいないので、リヒトに懐いているのかもしれません。
ウォルターは遊びに行っていて家にはいなかったのですが、お兄ちゃんまた来てあげてね! とクラリッサは帰っていく兄に声をかけたのでした。

さて、今夜はノズルさんのミダ杯2回戦。クラリッサは子供たちみんなと一緒に、プルト闘技場へ夫の応援に行きました。
ノズルさんの対戦相手は、彼の姉のカヤエさん。ノズルさんがショルグの違うお姉さんと姉弟対決するのは、この試合が初めてです。
試合の開始前、

b0057741_15413565.gif「姉さんに勝とうなんて10年早いわ!」
壇上で弟に対して啖呵を切るカヤエさんに、

b0057741_94877.gif「悪いけどこの試合勝たせてもらうぜ!」
負けずに言い返すノズルさん。
そして、その言葉どおり、この試合でもノズルさんはミダ技を繰り出して、61vs255のKO勝ち!
2回戦突破となったのでした。

そして9日夜のミダ杯第3戦。
この日のノズルさんの対戦相手は、

b0057741_14394349.gifあの強敵のマイクさんでした。
ミダ杯なのでミダ技が決まれば通常の倍ポイントを取れますが、マイクさんは持っている技が全てジマのもの。なので、ミダの技は彼に対しては弱くなってしまいます。
この日までずっとミダの技で勝ち抜いてきた夫ですが、

b0057741_1630856.gif(ノズルさん、今日はミダ技じゃちょっと不利ですよ……!)
とクラリッサがハラハラしながら見守っていると、今日彼が最初に撃ったのは、コールドランス。
この間から、まるで本当に対策を考えているかのようです。
しかし、それでポイントを少し稼いだものの、ノズルさんは大技を使ったため大疲労。
もちろん、マイクさんもジマの大技を使って攻めてきます。
しかし、去年1度マイクさんと対戦して255ポイントでノックアウトされた経験から、絶対に大技は決めさせないという固い決意があったのか、ノズルさんは攻撃がなかなか出来ないながらもマイクさんのジマ技をかわしてかわして、結果、14 vs 22というとても武術大会とは思えないポイントで試合終了! ノズルさんの勝ちとなったのでした。


そして10日。
陽が落ちる頃、クラリッサはそわそわしながら今夜もプルト闘技場へ向かいました。今夜はミダ杯決勝、優勝者が決まる日なのです。

……ところが、決勝戦の始まる時刻に試合場に入ってきたのはノズルさんだけ。対戦相手がいません。

b0057741_94877.gif「あれっ?」
実は、前回優勝のアンドレイさんが去年亡くなっていたため、シード出場の枠はなしになっていたのです。(プレイヤーもこの時まで忘れてた)
というわけで、対戦相手が不在のため、ここまで勝ち抜いてきたノズルさんが思いもかけずそのままミダ杯の優勝者となったのでした。

閉会式が終わった後、観客たちがぞろぞろと帰宅する中で、子供たちと一緒に夫に駆け寄ってお祝いの言葉をかけたクラリッサ。

b0057741_1630856.gif「おめでとうございます! 念願かないましたね!」
b0057741_94877.gif「うん……」
しかし、初めて武術大会で優勝してトロフィーを手にしたのに、ノズルさんは何故かちょっと不満そうな顔。
どうしてかしら?
クラリッサが不思議に思っていると、評議会館邸に帰りかけていたヴィクトールお父さんが、娘夫婦を見つけて、ノズルさんをねぎらいに寄ってきました。

b0057741_13541777.gif「おめでとう。お前ならいつかは優勝するとは思ったよ」
b0057741_94877.gif「……不戦勝だけどね」
b0057741_13541777.gif「うん? 優勝は優勝じゃないか」
b0057741_94877.gif「違う。それじゃダメなんだ。次は不戦勝じゃなくて、対戦者全員に勝って優勝する!」
ノズルさんの大声と宣言に、クラリッサも子供たちも皆びっくりです。その中でお父さんだけは、

b0057741_13541777.gif「まあ、お前らしいなあ」
とだけ笑って、帰宅していきました。
それを見送って、ノズルさんに尋ねるクラリッサ。

b0057741_1630856.gif「優勝したのに、どうしてダメなんですか?」
b0057741_94877.gif「だって、前回優勝者と対決しないで不戦勝で優勝なんて、ヴィクトールと全然違うじゃないか」
ああ……確かに、ヴィクトールお父さんは決勝戦を不戦勝で勝った事はなく、全て相手を倒して優勝しています。
ノズルさんは多分、お父さんと対等な位置に立ちたいのでしょう。元ミスプルトで2能、何でもそつなくこなしてしまう従妹のポーラちゃんに、クラリッサが少し嫉妬しながらも本当は憧れて追いつきたいと思うのときっと同じです。クラリッサには、彼の気持ちがとてもよく分かる気がします。

その後、夫婦で子供たちを連れて家に帰る夜道の途中で、一番上のアリエルがクラリッサにそっと聞いてきました。

b0057741_16123970.gif「あんなに大きい声を出して、お父さんって、おじいちゃんがキライなの?」
b0057741_1630856.gif「違うのよ。その反対なのよ」
アリエルはよくわからないと言うように首を傾げています。クラリッサは、そのうちわかるようになるわよと娘に笑いかけたのでした。


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by blue-ground | 2007-03-29 16:52 | 9代目クラリッサ

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