とあるNPCの追悼番外編
2008年 02月 12日
※※※※※
~587年11日~
26歳と24歳のアラモ&シータ・セラデス夫婦家に、待望の一人息子が誕生。
「オギャー」
「おおおシータ、かわいい男の子だぞ! この年になってわしも子供に恵まれるなんて……よくやってくれた!!」
「とんでもないわ、あなた」
「さっそく名前をつけようじゃないか! そうだな、トンヌラはどうだろう?」
「まああなた、それもいいですけど、せっかくですからあなたの名前のアラモから一字取って、アトリってどうかしら?」
「そ、それはいい名前だ! さすがにわしの奥さんだけある。そうだ、この子がもっともっと輝くように、最後に今風な★を付けようじゃないか!よーし、お前はアトリ★だぞ、アトリ★ー!」
「バブゥ」
~588年11日~
アトリ★君、1歳の誕生日。
「まああなたったら、今日は早く帰ってきてどうしたの?」
「(そわそわ)い、いや、そろそろアトリ★が起き出す頃だと思ってな……(そわそわ)」
息子起床。
「いまだ! りゅうてきこうはぁ~!」
「おおお我が息子ながらかわいいじゃないか……!! (抱き上げて)そーらアトリ★、大きくなったら何になる?」
「……(じっ)」
「どうしたどうした、言ってごらん」
「ぼく、お父さんみたいになるんだ」
「……!!」
「お母さん、お父さんどうして泣いてるの?」
「それはね……とっても嬉しいからよ」
「??」
~590年とある日~
「……(ふるふる震える危なっかしい手つきで包丁持ってお料理中)」
「!! こらシータ、アトリ★はまだ小さいのに刃物なんて持たせたらいかん!!」
「まああなたったら、子供用の包丁です、大丈夫ですよ」
「子供用でも何でも危険じゃないか!」
「何を言ってるんですか。私はアトリ★には一人で何でも出来る子になって欲しいんです。私も移住当初は一人で苦労したんですから(※シータさんはシステム移住者です)」
「で、でも……」
「そもそもこの子は一人っ子だし、私たちも年ですから、万が一のことを考えて、今のうちから色々教えておかないと」
「でもまだ入学もしとらんのだぞ。ダメだダメだ!!」
「あなたは過保護すぎるんです!」
「お……お父さんお母さん!」
「はっ…・・・」
「ぼく、いい子にしてるから、おねがい、けんかしないで!!」
「アトリ★……」
「やっぱりこのかわいい我が子に包丁なんぞ持たせたらいかーん!!」
以下ループ。
~591年1日~
3歳のアトリ★君入学。
「……(部屋の隅で壁に向かって座って無言)」
「どうした? あんなに入学式を楽しみにしていたのに、式から帰ってきたら、アトリ★が何だか落ちこんどらんか?」
「そうですね……どうしたのかしら」
「どうしたアトリ★、何があったか言ってみてごらん」
「な……何でぼくのお父さんとお母さんは、今日来てたみんなのお父さんお母さんみたいに若くないの!?」
「えっ……」
「そ、それはなアトリ★、お父さんとお母さんが少し年を取ってから、アトリ★が生まれたからだよ」
「年取ってるなんて、おじいちゃんおばあちゃんみたいで恥ずかしいよ!! うわ~ん!!(泣きながら自分の部屋へ逃げ込み)」
「あ、こら、待ちなさいアトリ★!!」
~591年14日~
初めてのテスト参観日、学舎に揃ってやってきたアラモさんとシータさん。
「アトリ★が嫌がるかなあ……でも初めての我が子の参観、見たいんだよなあ……」
「あの子が気にしてるだけですよ、堂々としていましょう。でも、アトリ★の姿だけ、教室の中に見えませんね……今朝も学校に行くまでぐずってたから……」
「……ま、まさかわしらが来るのがイヤで逃げ出したとか……!?」
「そんな……あ、アトリがやっと来ましたよ。……あら誰かしら、お姉さんと手をつないで……」
「え、どこだ?(キョロキョロ)」
「あら、行っちゃったわ。でもきっと、あの人がどこかでぐずってたアトリ★をここまで連れてきてくれたのね」
その夜↓
「(そっと両親の傍に来て)お父さんお母さん……この間は年取っててイヤって言って、ごめんなさい」
「おやおや、どうした、アトリ★」
「レイチェルさんに言われたの。レイチェルさんのお父さんも年を取ってるけど、でもショルグ長でカッコイイんだって」
「ふむ?」
「だから、ぼくのお母さんもウルグ長だからカッコイイんだって。お父さんもリム1位ですごいんだって! ぼく、年を取っててもお父さんもお母さんも大好きだよ」
「アトリ★……!(感涙)」
~594年1日~
6歳のアトリ★君成人。
「(式場で感激の涙にむせび泣きながら)立派になったなあアトリ★……! あとはかわいいお嫁さんをもらってくれれば、もう父さんはいつ死んでもいいぞ!!」
「お、お父さん、恥ずかしいから泣くのやめてよ……」
「それでどうだ、お前の同級生はお嬢さんばかりでみんなかわいいじゃないか。(※同級生は皆女の子でした)いいなと思う子はおらんのか? あの子はどうだ??」
「も、もう、やめてよお父さん」
「でもせっかくだし、今のうちに話しかけておけば……」
「お父さん! ぼ、ぼく、ちゃんとずっと前から好きな人がいるんだ」
「何! どの子だ??」
「ここにはいないよ。ぼくより年上なんだ」
「!!!」
~594年とある夕方~
息子の後を付け回すアラモさん。
(アトリは年上の女に騙されとる!! そうに違いない!!)
「レイチェルさーん! 明日、デートしない?」
「明日? いいわよ」
(あ……あの気の強そうな女の顔は見たことあるぞ……そうだ、我がリムウルグに成人時、0ポイントで入ってきた名物女じゃないか!! しかもアトリ★より4つも上か!!)
いかーん!
(これはかわいい息子を何としても説得せねば!!)←燃えたぎる使命感
その日の夕食時↓
「アトリ★……お前の恋人のことで話がある。今日、彼女を今日見たぞ」
「え、レイチェルさんを?」
「そう、レイチェルさんを……んん? 何か聞いたことある名前だな……」
「あ……昔、レイチェルさんのことを、ちょっとだけお父さんとお母さんに話したことがあるんだ」
「え? いつだ?」
「ずっと昔で……ぼくが入学したばっかりの時、周りと比べてお父さんとお母さんが年を取っててイヤだって言ってた頃があったよね」
「うむ」
「でも初めてのテスト参観の時、ぐずってたぼくに、レイチェルさんが、自分の父親も随分年を取ってたけど自慢のお父さんだって言ってて、ぼくの両親も年を取ってる分立派で自慢でしょって言ってくれて」
「……」
「レイチェルさんに言われて、それでぼく、自分は何てバカだったんだろうって思って、お父さんたちに謝ったんだ。その時に、レイチェルさんのことを話したことがあるよ」
「……」
「それで、レイチェルさんのことで話って何?」
「……いや、何でもないよ」
「?」
次の日、リムウルグにて↓
(くそう、かわいいアトリ★との仲を認めたくない…認めたくないが、仕方がない、許してやる…!!)
「(仕事しながら) ?? 今日はやけに背後から熱い視線を感じるわねー……」
~595年結婚式数日前~
疲労でアイテムをぼとぼと落としていて息子を心配させていたものの、それから10日経ってもピンピンしているアラモさん。
「……お父さん、ここのところ体の具合がすごく悪いって言ってなかった?」
「え? い、いや、わしも年だし、式延期と言わないまでも、アトリ★が心配してもうちょっとこの家にいてくれたらなーなんてな! わっはっはっ」
仮病かよ!!
~595年25日~
アトリ★君とレイチェルの結婚式当日、ワクト神殿で↓
「(レイチェルの両手をガシっと握って泣きながら)ううう……アトリ★を幸せにしてやってください。是非。頼みます」
「は、はあ……」
「(泣きながら)アトリ★ー!! 幸せにしてもらうんだぞー!!」
「お、お父さん! ぼくが花婿なんだけど!」
~年が明けて596年7日~
アラモさん35歳、危篤の日、ベッドで震えているアラモさんのところへ、息子がお見舞いに駆けつける。
「お父さん」
「うん……?」
「ぼくを育ててくれて、ありがとう……」
「……お前は、わしの宝物だったよ」
「うん……うん……」
~596年8日~
第36代評議会議長アラモ・セラデス、ワクトの元へ召される。
35歳の大往生でした。
お疲れ様でした…!
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#親ばかアラモさん、けっこう人気だったようなので、前から想像しててうまくプレイ日記に入らなかったことを、全て書き起こしてみました。アラモさんのようなキャラ、私も大好きです。
by blue-ground | 2008-02-12 00:00 | 10代目レイチェル