598年後半:
2008年 04月 01日
コークショルグ長だし、もう少し積極性が上がれば「みんなのアイドル」なので、リーグ戦で勝ちたいところですが、そううまいことは行かず、レイチェルは22日のエマニュエルさんには199vs103で勝利、23日のボーダン君の奥さんウィスニーさんには75vs148で負け。
そして迎えた第三戦はクラリッサママとの試合。
一昨年の初対戦は負け、去年は勝利、そして一度武術大会でもママに勝ったことがあるレイチェルですが、今回はママが魔術技を乱れ撃ちしてきて防ぎきれず、72vs129で負け!
さすがにママも、毎回娘に負けていられないよう。
今のところ、ママがあたしの一番のライバルだわね!
と改めて思ったレイチェル。
結局、レイチェルの今年の戦績は2勝2敗でした。
さて26日深夜、去年生まれたベイセルが起き出しました! お顔はこれでした↓
「くらえ! どらごんげいるぅ~!」
おおっと!!
「レイチェルさん似だね!」
「あたし似……って言うより、ちょっとあたしのパパ似!?」
「あらあら、おじいちゃん似なのね」
7系だけに、ビミョーに先祖がえりしてて、レイチェルもママもびっくりです。
さて、さっそく家の中を走り回っている息子を何とかつかまえて、尋ねたレイチェル。
「ベイセル、大きくなったら何になる?」
「えっ。ええっと……うーんと……(キョロキョロ)ね、ねえ、お姉ちゃんは何になるの?」
「わたし? いっぱいはたらいて、ウルグ長になるのよ」
「じゃ、じゃあボクもそのウルグちょーってやつ!!」
「ベイセル、あんた絶対わかって言ってないでしょ……」
とにかく、ベイセルもウルグ長志望のようです。
28日。
今日は評議会納会が開催されます。
コークショルグ長のレイチェルも出席。
今年の人口は、101人(男性48人、女性53人)との発表でした。そしてその後、去年議長になったばかりのシュメルさんの信任案の可決に移ると、
何とレイチェル以外の議員全員が議長にダメ出しを!
(あ、あれ!? どうして!?)
議長のシュメルさんは去年18歳の若さで評議長に就任したけど、今年の戦績は4勝でミダA1位、ウルグ順位もそこまで下じゃなく9位で、続投するのに申し分ないはずなのに!
若すぎたのか、ウルグ順位が足りなかったのか、残念ながらシュメルさんは議長の任から降ろされることになってしまいました。議長職に就く人間に対する要求されるランクは、思った以上に厳しいよう。というわけで、30日は議長選です。
さて、議会を終えて帰宅したレイチェル。ママもアトリ君もミュリエルも皆出かけていて、家では子供たちがお留守番をしていました。
エリンは聞き訳が良かったけど、この子はどうかしらね? と思ったレイチェルは、昨日起き出したばかりのベイセルにお使いを頼んでみることにしました。
「ねえベイセル、お母さんお使いに行って欲しいんだけど」
「やだ!」
くぉの…!!
よ、予想通りの反応です。しかし、心を落ち着けたレイチェルがもう一度頼むと、ベイセルは2回目は「うん、いいよ」と答えて、買いに行ってくれました。
こ、子育てには忍耐が必要ね!
とレイチェルが家で待っていると、ベイセルはすぐに帰宅。
「お母さん、買ってきたよ!」
「やれば出来るじゃないの! よく出来ました」
「うん。まかしとけって!」
さっきまでの拒否はどこへやら、褒められてベイセルは得意げです。
こういう子はおだてればやってくれるのよね! 何たってあたしが小さい頃そんな感じだったし!
さてこの夜は、第三子の出産日でした。今回も出産が間近に迫っている通知が来てから慌てて帰ったレイチェル。ベッドに横になっていると、今回は娘のエリンが、
「がんばってね」
と、子供ながらに声をかけてきてくれました。エリンは父親のアトリ君に似ているのか、優しい子です。
そして明け方レイチェルが産んだのは、女の子!
名前はミルドレッドとしました。
実はこのミルドレッド、エリンの次に生まれたのが男の子のベイセルだったので、もう一人、4系かつアトリ君に似た娘がどうしても欲しいと思ったプレイヤーが頑張ってリセットを繰り返した結果、
↓(1年後のスクショ)
狙った顔が出たーー!!
(絵本を持ってアトリ君に膝の上に座って)「お父さん、お父さん、このご本読んで」
「はいはい」
(一緒に膝の上に乗っかってきて)「お父さん、抱っこー!」
「わっ。ちょ、ちょっと今、お姉ちゃんに本読んであげてるから、待っててくれる?」
というわけで、
そっくりな娘たちに囲まれるパパに萌え…!
ところで、ミルドレッドは自力で「ジマの力」の才能を持ってきていました! まるで、今この国に才能持ちがあふれているのに危機感を持ったかのような、突然変異です。
しかし……「ジマの力」は国中の才能持ちキャラのほとんどが持ってる、この国では非常にありふれた才能なのですが……!
せっかくミルドレッドが持って生まれた「ジマの力」、他の人たちと同じ才能だと魅力がアップしないとかじゃないことを祈るプレイヤー。(魅力に関係するのは才能の個数?)
さて話は598年29日に戻って、ミルドレッドが生まれたことが国中に通知されると、友人や知人がお祝いに駆けつけてきてくれました。
その中にはもちろん、ボーダン君もいます。しかし、子供が好きでいつもなら喜んであやしてくれるのに、今日お祝いに来たボーダン君はいつもと少し様子が違って、暗い表情。
「……レイチェルさん、アトリ、おめでとさん」
「……? ありがと」
「あっ、ボーダンおじさん! 遊んで!」
「んー……悪いけど、また今度な、エリンちゃん」
今回は短いお祝いの言葉だけぼそっと言って帰ってしまったボーダン君を、怪訝そうに娘のエリンが見送ります。
そう言えば……
レイチェルには、思い当たることが一つありました。
30日。
大晦日です。
今年のリーグ戦は2勝2敗の成績だったので、レイチェルはこの日、1年間務めたコークショルグ長の任を解かれてしまい、一家で一般住宅に移ることになりました。
まあしょうがないわよね……!
一般服に戻ってしまいましたが、いつかまた、あの赤いショルグ長服を着てやるわ! と誓ったレイチェルです。
そして、この日は、28日にシュメルさんに対して不信任案が可決されたため、議長選挙もあり、投票の結果第39代議長に選ばれたのは、バハウルグ長のケートさんでした。
そんなこんなで、引越や議長選でバタバタしていた大晦日の一日も暮れて、あっという間に今年も終わり。
そう……もう、今年も終わってしまいます。
しかし、レイチェルには気がかりなことが一つありました。
今は、この間の議会納会での発表の通り、人口は100人ちょっとで、決して多くはないはず。なのに……結婚して1年以上経ったはずの、ボーダン君とその6歳年上の奥さんウィスニーさん夫婦のところに、子供が生まれたという知らせが、とうとう伝わってこなかったのです。
結婚した夫婦は、お互い初婚であれば、よほどのことがない限り1年で子供に恵まれます。そして、恵まれない場合、それが何を意味するのか……昔から、とある噂がありました。
大晦日の陽もとっくに暮れた頃、家に帰っている途中、アトリ君に呼び止められたレイチェル。
「レイチェルさん! 今帰り? 一緒に帰ろうか」
「うん。……あ、ちょっと思い出したわ。アトリ、先に帰っててくれる?」
「え? うん……」
不思議そうなアトリ君を道端に残して、レイチェルが向かった先はワクト神殿。……するとそこではやはり、ボーダン君が一人でスピリット訓練をしていました。
こんなことだと思ったわ!
訓練魔のボーダン君は昼も夜中も、訓練スポットにいることがしょっちゅうです。レイチェルは、一心不乱にお祈りをしているボーダン君の背中に声をかけました。
「ちょっとボーダン、訓練もいいけど、あんたちゃんと毎晩家に帰ってんの?」
「……帰ってるよ」
振り返りもせずにお祈りしながら、ボーダン君が答えます。
「そんなこと言ったって、今もここにいるじゃないのよ」
「別にいいじゃん。オレ、訓練好きだし」
「いいから、あたしと一緒に帰りなさいよ」
そうしつこく食い下がって、彼の腕を掴もうとしたレイチェル。しかし、レイチェルが伸ばした手は、ボーダン君に振り払われてしまいました。
「何だよ、さっきからうるさいな。別にオレがいつ帰ったって、レイチェルさんには関係ないだろ!」
な……なんであんたが怒ってるわけ!?
急に強い声で突っかかってきた彼に、ムッとしたレイチェル。そしてレイチェルは、彼についこう応じてしまいました。
「あんたが家にいないから、1年も経っても知らせがないんじゃないの!?」
それを聞いた瞬間、ボーダン君は、顔色を変えて、
「うるさいな! 余計なお世話なんだよ!!」
レイチェルを怒鳴りつけると、神殿を駆け足で出て行ってしまったのでした。
神殿に一人取り残されたレイチェルは茫然です。
い……今まで、ボーダンがあたしに怒鳴ったことなんてなかったのに!
突然の彼の怒りと怒鳴り声に、驚きのあまりその場をしばらく動けなかったレイチェル。
そして長いこと、神殿に突っ立っていたレイチェルの背後から声をかけてきたのは、こっそり様子を見に来ていたアトリ君だったのでした。
「……レイチェルさん、あんなふうに言っちゃダメだよ」
「だ……だってあたしは……ボーダンがいつも夜中じゅう訓練してるから、家に帰りさえすれば……」
きっと……きっと子供だって出来るって思ったのに。
友達だから、そう伝えて励ましてあげたかったのに。
結婚しても子供が出来ない夫婦にまつわる噂なんて、笑い飛ばしてあげたかったのに。
まだ茫然としているレイチェルの傍にやって来たアトリ君は、レイチェルがボーダン君に言いたくてうまく言えなかったことを汲み取って、こう言って来ました。
「うん……でも、ボーダン君たちのことはボーダン君たちにしかわからないんだから、そっとしておいてあげようよ」
「……あんたも、あたしがおせっかいだって言うの!?」
「そんなことないよ、レイチェルさんの気持ちも、よくわかってるよ。ボーダン君をすごく心配してるから、ここまで言いに来たんだよね?」
静かにそう言って、落ち着かせるように抱きしめてくれたアトリ君の言葉に、
……何よ、何よ、まるであたしよりアトリのほうが何歳も年上みたいじゃないのよ!
むしょうに悔しい気持ちでいっぱいで、何か言おうと思うのに、それ以上アトリ君に何も言えなくなってしまったレイチェルです。
そして、アトリ君に連れられて、家に帰ったレイチェル。家では二人が帰ってこないのを心配して、一番上の娘のエリンが寝ないで待っていました。帰宅した両親の姿を見て、安心して眠る前、レイチェルに声をかけてきたエリン。
「お母さん、あのね、そう言えば」
「なあに」
「今日わたしがお母さんたちを待ってた時ね、ボーダンおじさんが泣いて歩いてたのを見たのよ。どうしたのかなあ……」
一瞬黙った後、レイチェルは心配そうな娘にこう声をかけました。
「……きっと、おじさんは大人で見られたくなかっただろうから、見なかったフリして、いつもどおりにしてあげるのよ。わかった?」
「……うん」
娘が床に就いたのを見届けて、自分も休むことにしたレイチェル。
言い過ぎたことは反省しなきゃ。それに、まだボーダンはまだ若いし、結婚して1年しか経ってないんだし、あたしが焦ることなんてきっとないはず。アトリの言うとおり、そっとしておけば、いつかぽっと、ボーダンがあんなに待ち望んでいた子供だって出来るかもしれないしんだし……ね……。
しかし結局この後も、ボーダン君夫婦のところに子供が生まれたと言う知らせがやって来ることは、とうとうなかったのでした。
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by blue-ground | 2008-04-01 00:00 | 10代目レイチェル