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605年後半(1):   

夜が明けて、20日。
今日はエナコンの日。ミルドレッドにも、出場通知が来ました。
行かなくちゃ! と、ちょっとドキドキしながら家を出て会場に向かったミルドレッド。



そして神殿前に着いたミルドレッドが、エナコンを見に来た皆の前に立った位置は……2位の位置でした。

昨日のお昼まで、ミルドレッドは魅力ドーピングをして1位で出場しようかずっと悩んでいました。でも昨日、大通り北でドラケンが最後に叫んだ、セイシルの芳香を持っていなくてもエナコンは大丈夫という言葉が、ミルドレッドの心に引っかかっていたのです。

605年後半(1):_b0057741_2062380.gif(絶対なんてつけちゃって、あれって、謝るついでに慰めてくれたってこと?)
ドラケンがどういう意図で言ったのか、ミルドレッドはわからなくて悶々とするばかり。
でも……朝を迎える頃、どうせ初めてのエナコンだし、ミルドレッドは、いったん自分の素の魅力で勝負してみようという気になったのです。


さて今年のエントリーは、男性1位は、ミルドレッドの同級生サフィール君。投票前から、全能の彼が今年のミスタープルトになるだろうことは確実です。
女性の1位はカナリアさん(プレイヤーが以前移住させたキャラだったりします)。彼女は才能こそ持っていませんが、去年のミスプルトが婚約してから、ずっと魅力女王1位の座を守っている人。それに続く2位が、ミルドレッドです。

この褐色の肌の大人っぽい人に、あたしが勝てるのかしら?

ミルドレッドは内心不安だらけ。
やがて、今年の出場者の男女の自己紹介が、詰め掛けた人々の前で、始まりました。


さてさて、休日の学舎に遊びに来ていた子供たちも、自分達はまだ参加できない、大人たちのこのコンテストがとうとう始まったのに興味津々。会場で見学することは基本的に許されないので、学舎の狭い入り口にぎゅうぎゅう詰めに集まって、エナコン会場を覗きます。もちろんその中にはミルドレッドの弟のキリアンや、幼馴染のドラケン、ブリヤンクもいます。

605年後半(1):_b0057741_191327.gif「ねえ、エナコン始まるよ。 見ようよ!」
605年後半(1):_b0057741_2072626.gif「ミルドレッドちゃん、出てるね! ぼくたちも投票できればいいのにね」
605年後半(1):_b0057741_191327.gif「ドラケンはこっち来て見ないの?」
605年後半(1):_b0057741_2065278.gif「え? あんまりエナコン自体には興味ないし……」
ドラケンは教室の奥で本を読んでいる最中。せっかくの休みの日なのに、本なんか読まなくってもと言うキリアンの言葉も、ドラケンは気にしないよう。ドラケンにしてみれば、休日は逆に授業もなくてゆっくり読める日なのです。

605年後半(1):_b0057741_191327.gif「お姉ちゃん、ミスプルトになりたがってたけどなれるかなー」
605年後半(1):_b0057741_2065278.gif「彼女ならジマの才能持ってるし、大丈夫じゃない」
605年後半(1):_b0057741_191327.gif「そう言えばそうだなー。あ、投票始まったよ! わあーなんかお姉ちゃんのとこに男の人いっぱい来てるー!!すげー……って重いよドラケン!!
605年後半(1):_b0057741_2065278.gif「えっ」
キリアンに怒られて、ドラケンは我に返った様子。子供たちでぎゅうぎゅうづめの学舎の入り口で、いつの間にか押しかけてきたドラケンがキリアンの背に乗りかかるようにして会場を覗いていたのでした。

605年後半(1):_b0057741_191327.gif「何だよ、結局見たいんじゃないか!」
605年後半(1):_b0057741_2065278.gif「えっ、って言うか、」
605年後半(1):_b0057741_191327.gif「割り込みはダメって先生も言ってるでしょ! どうしても見たいんなら一番前でかがんでよ、ほら」
605年後半(1):_b0057741_2065278.gif「えっ、いや、ちょっと……」


そう、投票が開始された途端、ミルドレッドには男性が思いのほかたくさん駆け寄って来ていたのですが…
その内訳は、28歳・24歳・16歳・23歳・25歳・15歳・29歳…


605年後半(1):_b0057741_2062380.gif(な、なんか年上のおじさんばかりだわ!!(汗))
いつ知り合ったっけ!?とプレイヤーもスゲー謎です。
ミルドレッドの同級生のカナードと、兄のベイセルはミルドレッドに投票しに来てくれましたが、若い子はどうもカナリアさんに投票して行った様子(汗)


そして、優しい性格で走り寄ったりしないせいか、娘に押しかけてきた男性の波にはじかれまくってよろよろしていたアトリお父さんが(笑)、ちょっと遅めに投票してくれました。

605年後半(1):_b0057741_2092518.gif「ミ、ミルドレッド、がんばってね」
ミルドレッドがミスプルトの夢を持っていることを知っていて、励ましてくれたお父さん。

605年後半(1):_b0057741_2062380.gif「うん、がんばる」
と答えながら、

あ、あたしってば、年上の人ばっかりだったけど、けっこう票もらってるんじゃない?同年代より年上が多いってことは、一応あたしが大人っぽいってことかな!?

と、内心驚くやら嬉しいやらのミルドレッドです。
そうこうするうちにお昼を過ぎ、投票しに来る人もほとんどいなくなり、暗くなって来て投票終了を告げる鐘が鳴り終わった瞬間、ダダダーっとミルドレッドの前に走ってきた影が。


605年後半(1):_b0057741_13374255.gif「ハァッ…ハァッ…何やってんの? じゃなくって、わ、悪いミルドレッドちゃん、走ってきたけど投票に間に合わなかったぜー……」
605年後半(1):_b0057741_2062380.gif「……」

ワイルダーのボーダンおじさんの票はあんまり期待してなかったからいいわよ!!


と、ともかく、蓋を開けると、結局ミルドレッドの得票は29票。なんとミスプルトに選ばれることが出来ました! 男性は38票獲得で、もちろんサフィール君です。


あ、あたしが選ばれちゃった!!

驚きのあまり、興奮気味のミルドレッド。
1位で出場したわけではなかったので、もしかしてダメかも……と初めのうち思っていたミルドレッドは信じられない思いです。というわけで、ミルドレッドは成人1年目にして、念願のミスプルトの栄冠を手にすることが出来たのでした。


さて、コンテストが終了すると、居並ぶ観客や、学校に遊びに来ていた子供達が、今夜行われる武術大会の試合を見に、いっせいにプルト闘技場へ移動し始めます。
その人ごみにもまれながら、ドラケンを見つけようとしてその双子の弟ブリヤンクの姿を見つけたミルドレッドは、駆け寄って話しかけに行きました。


605年後半(1):_b0057741_2062380.gif「ね、ねえブリヤンク! あたし、2位だったのに、ミスプルトになれちゃったの!」
605年後半(1):_b0057741_2072626.gif「あ、ミルドレッドちゃん。なれると思ってたよ、おめでとう! わかるよ、だってミルドレッドちゃん、キレイになったもんね」
そう笑いかけてくれたブリヤンクに、ミルドレッドはびっくりです。

605年後半(1):_b0057741_2062380.gif「え?」
605年後半(1):_b0057741_2072626.gif「成人式の後に会いに来てくれたとき、前とあんまり違ってキレイになったから、ぼくとドラケンですごくびっくりしちゃってたんだよ。やっぱりぼくたち子供と大人って全然違うなあって……」

605年後半(1):_b0057741_2062380.gif「そ、そうだったの……?」
605年後半(1):_b0057741_2072626.gif「だからすぐ恋人出来て結婚しちゃうかと思ってたけど……」
じゃ、じゃああの時、ドラケンもブリヤンクも自分のことを別人みたいだと言っていたのは、そういうことだったの? でもじゃあどうして、ドラケンはあの後も全然そう言ってくれなかったの?
それどころか、あたしにイヤミばっかり言って来て……でもそうしたら、昨日は、本当のことを言ってくれたって思っていいの?

そうぐるぐると考えていたミルドレッド。

その時、不意に、

605年後半(1):_b0057741_2072626.gif「……あの、ミルドレッドちゃんってさ、恋人出来たの?」
ブリヤンクがそう聞いてきたのに、

605年後半(1):_b0057741_2062380.gif「え? まだよ。それより、ドラケンはどこ?」
心ここにあらずといった感じで辺りを見渡していたミルドレッドは、すぐに話題を変えてしまった自分に、ブリヤンクがちょっと落胆した表情になっていたのを見ていませんでした。

605年後半(1):_b0057741_2072626.gif「……一緒に学舎からエナコン覗いてたけど、さっき家に帰っちゃったよ。結果を見て、もういいやって言って」
605年後半(1):_b0057741_2062380.gif「そ、そう……」
結果って、エナコンのあたしの結果? あたしが本当にセイシルの芳香なしでミスプルトになれたのを見てたのに、ドラケンはそれにちっとも心を動かされなかったってこと……?

途端にミルドレッドの気分が沈んで行きます。
今日の結果を自分の口から知らせて驚かそうと思っていたのに、見てたくせに、もういいと言って、しかも帰ってしまったなんて、ミルドレッドはもう何だかどうしていいかわからなくなって来ました。

605年後半(1):_b0057741_2072626.gif「ミルドレッドちゃん、ドラケンに何か話があるんなら、伝えておくよ」
605年後半(1):_b0057741_2062380.gif「え……うん……」
落ち込み気味のミルドレッドに、優しいブリヤンクが声をかけてきてくれます。

605年後半(1):_b0057741_2062380.gif「……じゃあ……って言っておいて」
605年後半(1):_b0057741_2072626.gif「え?」
605年後半(1):_b0057741_2062380.gifバカって言っといて!!」
605年後半(1):_b0057741_2072626.gif「ええっ?」
思いっきりそう叫ぶと、目を丸くしているブリヤンクを置いて、走って神殿前を後にしたミルドレッド。

今日は夢が叶って、ミルドレッドがミスプルトに初めてなれた日。
そう、子供の時からの念願叶って嬉しい日のはずだったのに……ちょっとしたことでこんなにも嬉しくなくなってしまうなんて、ミルドレッドは思ってもみなかったのでした。



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#本日まで拍手&メッセージありがとうございました!
今回、年末のエピソードまで書いていたら、記事がすっごく長くなったので、分割しました。なので多分次の記事アップまでそんなに時間空かないと思います。た、たぶん…

by blue-ground | 2008-12-05 00:00 | 11代目ミルドレッド

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