607年前半(2):
2009年 02月 13日
ショルグ新年祭と仕事始めの日です。
ところでこの日、9代目クラリッサと(←代替わり後)10代目レイチェルと11代目ミルドレッドをデートに誘いに来ていたルボスラフ君が17歳の若さで危篤になってしまいました。
ハーミアちゃんといい、ミンメイちゃんといい、ファルケ君といい(!?)、ブログでネタっぽく扱ったキャラは短命な運命なのか…!(いや偶然だろう)
ルボスラフ君、割と積極的にいろんな人をデートに誘いに行っていたのに、無才能なのが影響したのか、最後まで彼女が出来ませんでした。やっぱり無才能には厳しい時代だなあー。
ついでに今、上↑で彼の顔グラを貼るために顔番号を見て、前貼ったルボスラフ君の2段階目の顔グラが間違っていたことに気づきました。
本当はこれなのに
こっちとずっと間違ってた。
死ぬまで気づかなくてスマン!
さてさて、1日、成人したドラケンに初めて会ったミルドレッド。その夜、ミルドレッドは今度は別の意味で落ち着かなくなって来てしまいました。
ミルドレッドは最初からドラケンのお嫁さんになるつもりだったのに、先に自分が成人したらドラケンになんだか冷たくされて、落ち込んだり腹を立てたり泣きそうになったりするばかりでした。
でもそれが、ドラケンのあまのじゃくな態度だと知って、もう1回チャンスをくれと言われて、やっぱり彼が好きな手前、言うじゃないの、さあどう、チャンスをくれてやるわよ!! と意気込んでいたのに、
(あんなに反則的にかっこよくなるなんて!)
そりゃ元からハンサムだったし、おまけに将来議長になるっていう夢を持ってるくらい素敵な男の子だったけど……
あんなにハンサムになったんだったら、あたし以外の女の人にもきっともてちゃうわよ!!
ミスプルトになりたいと言っていた成人のミルドレッドに、あの時は冷たくて意地悪だとばかり思っていたドラケンが、今思うと子供らしい嫉妬で懸命に抵抗していたのもうなずけます。子供のドラケンに、議長邸に連れて行くのを約束するよと言われて、もしかしたら自分のほうが立場が強いのかもと心の底で思い、彼の成人を内心心待ちにしていたミルドレッドは、不安で不安でしょうがなくなってきてしまったのでした。
そんなわけで朝、同じミダショルグの新年祭に、
「わー、初めてのショルグ新年祭だ。 ワクワクするなー!」
とおお張り切りの弟のキリアンと出席したミルドレッド。
ミダショルグ長とナァムのありがたいお言葉を聞きながらうつらうつらしていたら、隣のキリアンに、
「お姉ちゃん、なんか頭が舟こいでるよ?」
「だ、だってゆうべ眠れなかったんだもんっ」
「? お姉ちゃんも新年祭を楽しみにしてたの??」
そんなミルドレッドは今年、ミダD2位になっていました
午後は仕事始め。
時間になると各ウルグに続々と人が集まり始めます。ミルドレッドがいつものように並んでいると……
「おはよう、ミルドレッドさん」
後ろから声をかけてきた人に、ドキリとしてミルドレッドは振り向きました。声をかけてきた男性の顔を見ると、そこにいたのは、ミルドレッドと同じバハを選んだブリヤンク。
「お、おはよ」
びっくりした……!!
どきどきする胸を押さえながら、そう思ったミルドレッド。
「ど、どうしたの、改まって。昨日までミルドレッドちゃんって呼んでたのに」
「え? ああ、もう子供じゃないから、年上の人をちゃん付けで呼ぶのは変かなって、昨日会った後に思ったんだ」
「そう? 別に、ちゃんでも全然構わないわよ」
「……でも、ぼくが、そう呼びたいんだ」
「そ、そうなの?」
こだわるブリヤンクに、ミルドレッドはうなずくしかありません。
それに、その声でさん付けで名前を呼ばれると、ここにいるはずのない人を思い浮かべちゃうわ……!
双子で声が似ているせいで、名前を呼ばれたミルドレッドは一瞬、勘違いをしてしまったのでした。
そしてウルグ員もほぼ集まり、ウルグ長の挨拶と言葉、今年の1~5位までのランキング上位者と、出店権が与えられる人の発表が終わると、今日はもう解散。実際に仕事を始めるのは、明日からなのです。
「最初は木ヅチなのかあ。大変そうだなあ」
ミルドレッドは福音のカマですが、今年成人したばかりのブリヤンクは、誰もが最初はそうなように、お金もないので何も道具が借りれられず、一番下のランクの物を貸し与えられただけ。
「これから頑張れば、ウルグランクが上がって、お給料もいっぱいもらえて、いい仕事道具が借りられるわよ」
「うん、頑張るしかないね。ミルドレッドさん、これから仕事のことで色々聞くかもしれないけど、その時はよろしくね」
「うん」
にっこり笑いかけてそう言うブリヤンクが差し出してきた手を、何のためらいもなく反射的に握り返したミルドレッド。
「……」
「どうしたの?」
「……ぼくとは平気なんだね。わかってたけど……」
「えっ?」
「ううん、なんでもないよ。今日は母さんがコーク杯の開会式に出るんで見に行かなくちゃ。またね、ミルドレッドさん」
笑ってそう言うと、同じようにバハウルグを出て行く人ごみにまぎれて、ブリヤンクは行ってしまいました。
そして、ミルドレッドが少し遅れてバハウルグから温泉前へ出た時、
「ミルドレッドさん」
今度は、ちょうどガアチウルグの仕事始めから帰ってくるところだったドラケンにつかまったのでした。
「今帰り?」
「う、うん」
昨日と同じでまともに顔を見られなくて、うつむいたままミルドレッドが返事をすると、ドラケンは、
「……なんか昨日からそっけないけど、ぼくは握手もしたくないような男になった? これでもショックを受けてるんだけど」
そう言われても、成人したドラケンを見て、なんだか急に恥ずかしくなって握手できなかったなんてミルドレッドには言えません。
「そ、そんなことないわよ。成人おめでと。それだけ立派になったんだから、き、きっと、エナコンとかにも出れちゃうんじゃないの」
「エナコン? どうして?」
「べ、べつに、なんとなくそう思っただけよ」
「エナコンは無理だと思うな。出るとしたらブリヤンクだよ。あいつは2能だけど、ぼくは1能だし、あいつのほうが優しくて受けはいいからね」
「そ、そりゃ確かにそうだけど、でも……」
でも、それだけカッコよければ、多分他の女の人もドラケンをほっとかないわよ……!!
成人したドラケンの姿がばっちりミルドレッドの好みだったせいもあって、恥ずかしくてまともに彼を見られないばかりではなく、世の中の女性が皆ドラケンに興味を持つようになるような気がして、ミルドレッドは不安で落ち着かなくなっているのでした。
するとドラケンがちょっと面白そうな顔になって、
「……あれ」
「な、なによ」
「ひょっとして、ぼくにエナコン出てほしくないとか思ってる?」
「バ…バカ!! 違うわよバカバカバカ!!」
思わず真っ赤になってミルドレッドが振り上げた腕を、ドラケンは笑ってかわしながら、
「もしかしてミルドレッドさんが成人した時のぼくと同じかな。そういうの、今ならかわいいと思うけど」
「バ、バカ!!」
ミルドレッドの不安とは反対に、ドラケンは、成人したことでかなり余裕が出てきている様子。それがまた、ミルドレッドにはなんだかすごく悔しくてたまりません。
何よ何よ、あたしがどんな思いでこの2年待って……
そんなミルドレッドの思いを断ち切るように、不意に隣のドラケンがこう言って来ました。
「……あのさ、まだ誰とも付き合ってないってことは、ぼくが言ったことを覚えてくれてるんだよね?」
「え、あた、あたしは……」
ドキリとして口ごもりながら、ミルドレッドは自分の顔にまた血がのぼって来るのがわかりました。心臓がバクバクと体の中で脈打って、まるで自分のものではないようです。
ど、どうしよう。今ここで遊びに誘われたら、あたし素直にうんって言えるかしら……!?
そして、ドキドキするあまり心臓が口から飛び出しそうになって、それ以上何も言うことが出来なくなってしまったミルドレッド。しばらくお互い黙っていた後、どうやら返事を待っていたらしいドラケンの口から軽いため息とともに出た言葉は、
「そう信じておくよ。じゃあ、また」
え……あ……あら!?
それで終わりなの!?
ちょうど神殿前まで歩いてきていた二人。ドラケンはミルドレッドに別れを告げると、プルト闘技場のほうへ向かって行ってしまったのでした。ミルドレッドは呆然と見送るしかありません。そういえばブリヤンクが、母親がコーク杯の開会式に出ると言っていたのを思い出しました。ドラケンも同じく母親の姿を見に闘技場へ向かったようです。
な……なによ、確かに返事できなかったあたしも悪いけど、あたしにもドラケンにも、ほかの人が来ちゃったらどうするのよーー!!
そもそも、自分が成人したからってその余裕っぽい態度も何なのよ!!
ミルドレッドは一転、憤慨です。
でもだからと言って、自分からドラケンを遊びに誘うのはなんだか負けた気がしてイヤ!と絶対に自分から遊びに誘いに行かないと心に決めたミルドレッド。
ドラケンって本当に本当にバカなんだから!!
と、ミルドレッドはこの日、また別の意味で眠れなかったのでした(笑)
3日。
今日から仕事が始まります。
しかし、ミルドレッドは今日は仕事場には向かいませんでした。午前中ルボスラフさんの葬儀、午後はさっそくDリーグの試合と、予定がいっぱいだったのです。
午後の試合は、アトリお父さんとレイチェルお母さんに、姉のエリン、兄のベイセルが応援に来てくれました。キリアンはいませんでしたが、家族の応援を受けてミルドレッドは189vs101 で勝ち!
1戦目を勝利で飾ることが出来ました。
夜は今度は同居の伯母ミュリエルのプルト闘技場でのコーク杯ナイターの応援。
コーク杯なのに、なぜか
「オーラナックル! オーラナックル!!」
とジマ技連発のミュリエルは(汗)、44VS96で、対戦相手のラダーボンさんに勝利。
「訓練好き」のラダーボンさんがミダ技オンリーなのが幸いして、何とかジマ技での勝利となったようです。
「ちがうわよ! あたしがオーラナックル連発したのは最初っから相手の技を見切ってたからよ!!」
と、ともかく、決勝戦まで勝ち進めば、シードのお母さんとの対決が見られるかも!
同じコーク所属の母と伯母は、リーグ戦でも何度も対戦してるけど、優勝をかけた対決は見たことがないので、ちょっと楽しみなミルドレッドです。
4日。
朝、家を出て行ったキリアンが、職場のガアチではないほうへ歩いていったので、誰かデートに誘うのかしら? と思ったミルドレッドは声をかけました。
「キリアン! 誰かお目当ての子がいるの?」
えー!
ミルドレッドはびっくりです。
議長のケートさんはお年を召しているとはいえ、確かに金髪美人だけど、
「成人早々既婚者を誘いに行くのはやめなさいよ~!」
「うん、わかってるけど、ちょっと話とかしてみたいし!」
そういえば、兄のベイセルも成人するとすぐ、同じように議長のケートさんを朝からデートに誘いに行っていました。
年上の人妻とはいえ、ケートさんはAリーガーだし議長だし金髪美人だし、若い男の子が憧れる存在のようです。
弟に付いていってみた後(結局ケートさんは不在でした)、夕方、今度はアトリお父さんを見かけたので声をかけたら
あら……ごちそうさま!
翌日5日、レイチェルお母さんとアトリお父さんは、リムウルグ長のお母さんの議会終了後、大通り南で待ち合わせて、フーコー温泉へ仲良く夫婦デートに向かっていきました。
それを見かけたミルドレッドは、仲のいい両親に当てられて、ため息。
なぜなら、あの日声をかけられて以降、ドラケンはちっとも来てくれなくなってしまったのです。こっそり覗きに行くと、どうやら彼は毎日毎日遅くまでガアチで働いている様子。
勤勉さが一番高いし、きっと初めてやりだした仕事に夢中なのかも……。
ミルドレッドも、自分が成人した時、子供のときと違って色々なことが出来るようになったことが面白くて、遅くまでバハで収穫したり、夜に訓練に行ったりしていました。だからわかるつもりもあります。そう、あるのに、なんだかこれまで以上に不安なミルドレッドです。
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by blue-ground | 2009-02-13 00:00 | 11代目ミルドレッド