558年中盤(1):
2006年 01月 12日
弟の性格は「おおざっぱ」だけど、双子なので、見ていないようでちゃんと姉を見てるみたいです。
「どうしたのさ、元気ないね」
「ほっといて……」
あの後も、イアンさんは何度か母エレノールをデートに誘いに来てました。
ユリイカは成人したばかりだし、若さ以外、魅力では母親に負けてるのかもしれません。
待ってるだけじゃダメなのかも。
そう思って、
「あ、あの、イアンさん、明日遊びに行きませんか? プルトの案内とか案内とか案内とかします!!」
と勇気を出してユリイカからイアンさんを誘ってみたのですが、
「明日? ごめんね、ちょっと用事があるんだ」
あっさり断られてしまいました。
それに、あんなに話しかけたのに、どうも彼から見てユリイカは友人欄に入っていない様子。
そんなに魅力、ないのかなあ……
溜息をつきつつ、そんなことを思いながら歩いていると、マードック君が「どう、最近?」と声をかけてきました。彼はイアンさんと違って、いい人探しをそんなにしていないようです。
「明日は、エナの子コンテストね」
「エナの子コンテストって何?」
彼はイアンさんと同じく今年の移住者なので、エナコンを知らないのも無理はありません。
「魅力的だと思う人を選ぶコンテストよ。……でも、誰でも出られるってワケじゃないけど」
ユリイカ、説明しながら落ち込んできます。
そして20日。
ユリイカは今年のエナコンにはノミネートされませんでした。
出場通知が来なかったのです。
(あーあ……)
それでも、人で溢れてるエナコン会場をこそっと覗くと何と、
←ミ、ミンメイちゃんが出場してる……(親戚で同級生)
な、なんか更に落ち込みます……ごめんミンメイちゃん
結局、ミスプルトは、ユリイカの従姉の
メラニーさん。
メラニーさんなら、勤勉性も優しさも充分なうえ美人だし、選ばれる理由もわかります。
果たして、ユリイカもミスプルトになれる日が来るのでしょうか?
でも、何をしたら手っ取り早く皆に魅力的だと思われるのか、ユリイカにはさっぱりわかりません。(※ちなみに、見事に今まで誰もデートに誘いに来てくれていません)
エナコンが終わった頃、親戚のヴァシリーサおばさんが、会場の隅で柱に寄りかかっていたユリイカを見つけて声をかけてきました。
「残念ね、エナコン目指してたんでしょ。……アラ、ぶーたれた顔をしてるわよ」
「……元からだもん」
「……」
「何? ヴァシリーサおばさん」
「いえ、あなたってやっぱりアルバートの娘よねと思って」
「?」
その夜、家でユリイカがぶーたれていると、両親の友人のマーカスさんが来て、
「彼氏いるの?」
と聞かれたので、ユリイカ、
「教えてあげない」
って言っときました。
「ユリイカったら、もうちょっと愛想良くしないとダメよ」
母がたしなめてきますが、そんなこと知りません。
どうせ、お母さんみたいに可愛くないし!
ユリイカ、何だかヤケになってます。
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by blue-ground | 2006-01-12 13:44 | 7代目ユリイカ