人気ブログランキング | 話題のタグを見る

564年前半(1):   

新たな年明け。



今年はユリイカは外リーグ1位でした。
あともう少し! もう少しでリーグ入りできそうです。
マードックはD2位でリーグ入り。あぁ~、先に行ってしまいました。
ユリイカももう少しレベルを上げれば、来年Dリーグに入れるでしょう。今年も、仕事の量を少し減らして、平日も訓練することにします。
そんなわけで、バスの浜で訓練していると、また父のアルバートに会いました。

564年前半(1):_b0057741_1214467.gif「おはよう、お父さん」
564年前半(1):_b0057741_128269.gif「おはよう、ユリイカ」
564年前半(1):_b0057741_1214467.gif「お父さんって、本当に毎日訓練してるのね」
564年前半(1):_b0057741_128269.gif「ああ。もう伸びないけど、レベルを維持しておかないと試合で大変だからな」
そう答えるアルバート。もう伸びないと言っていますが、ユリイカの3Sレベルは、どれもまだまだ父の半分しかありません。
いつになったらお父さんと同じレベルに到達できるかな……と考えながら、ユリイカは訓練に打ち込みます。
そしてユリイカが訓練を終えた時、それを持っていたかのように、アルバートが歩み寄ってきて声をかけてきました。

564年前半(1):_b0057741_128269.gif「ユリイカ、今晩うちにおいで」
え?

564年前半(1):_b0057741_128269.gif「久しぶりに、母さんも会いたがってるよ」
そう言われると、確かにここのところ忙しくて、評議会館邸の家族に会っていません。

564年前半(1):_b0057741_1214467.gif「そうね、皆に会いに行こうかな」
564年前半(1):_b0057741_128269.gif「じゃあ、母さんと待ってるよ」
アルバートはユリイカの頭に手を置いて笑うと、浜を去っていきました。

その夜、ユリイカは父のお誘いに、子供たちの世話をマードックにお願いして、久々に実家を訪問しました。

564年前半(1):_b0057741_1216178.gif「いらっしゃい、ユリイカ。久しぶりね」
母のエレノールが出迎えて、ユリイカを抱きしめてくれました。成人してからほとんどそんなことをされたことがなかったのに、母に抱きしめられて、ユリイカは何だか照れくさいような、でも懐かしいような、不思議な感じです。家の中を見渡すと、既婚の姉のユーフェミアと弟のアーサーも、父に誘われていたらしく、評議会館邸に来ていました。まだ実家住まいの姉ビアンカと兄アルフレッドも加わって、今夜は久しぶりに家族全員が集合のようです。
今日って何かの記念日だっけ?
思い当たることはないのですが、ユリイカは久しぶりに両親と、兄姉たちとのお喋りを楽しみました。

そして夜も更けて来て、とうとう帰宅の時間となりました。玄関口まで、ユリイカたちを兄のアルフレッドが送ってくれます。
その時、ユリイカは兄の肩越しに奇妙な光景を見ました。
部屋の奥で、苦しそうに咳き込んでいるエレノール。

564年前半(1):_b0057741_128269.gif「エレノール」
アルバートがその傍に行き、エレノールを優しく抱き上げて、寝室へと消えて行きました。

……?

564年前半(1):_b0057741_1214467.gif「お兄ちゃん、お母さんどうしたの?」
ユリイカの問いに、アルフレッドが少し目を伏せて答えます。

564年前半(1):_b0057741_1212369.gif「……お母さん、最近疲れやすいみたいなんだ」
……ああ。

いつも母を見ている父は、きっとすぐに母の異変に気づいたに違いありません。
それで、家に来いと言ったのでしょう。まだまだ普通に会話することが出来るそのうちに、家族で楽しい思い出を作るために。今日は記念日なんかではなかったのです。

翌朝、ユリイカが訓練のためにワクト神殿へ行くと、先に来て祭壇で静かに祈っている人の姿が見えました。黒い議長服。アルバートです。
ユリイカは声をかけることが出来なくて、アルバートが祈り終えるまで、神殿の隅でその背中を見守っていました。
父は果たして、何を祈っていたのでしょうか?

そして、5日朝、母の危篤の知らせが届きました。

←前記事へ                                        次記事へ→

by blue-ground | 2006-03-31 13:15 | 7代目ユリイカ

<< 564年前半(2): 563年後半(2): >>